頼まれたことはすぐやるに限る。
何事も素早く対応することで、周囲の人の気分も、自分の気分も良くさせることができると思っている。
仕事を例にとると、上司や先輩から指示を受けた仕事を行うにあたって注意すべきことがいくつかあり、例えば以下のようなことが挙げられる。
- 目的を確認する。
- 完成イメージを確認する。
- 期限を確認する。
- 詳しい人に相談する。
- 報連相を欠かさない。
- 完璧を目指さない。
これらのことは当然重要なポイントではあるが、私は、
スタートだけでも良いから、その日のうちに取り掛かること。
これが一番大事だと思っている。
逆に言えば「取り掛かりが遅れるほど、やる気もなくなり質の高い仕事もできなくなる」のである。
仕事で言えば、指示を受けたその時がやる気が一番出ている状態だと私は思っていて、その理由として、指示の内容も聞いたばかりで頭の中にしっかり残っていることなどがあるのだが、やはり人から指示を受けた時(特に向き合って口頭で指示を受けた時)というのは意識していなくても気が張っているものなのである。
気が張っているうちに取り掛かると、後は一気に仕事を終わりまで進められる可能性が高くなっていく。
ところが人間の頭は都合よくできているもので、本当に不思議なのだが、その場でやる気が出ているものだから「その後もやる気が続くだろう」と勘違いしてしまい、ちょっと忙しくなると「明日やればいいか」となってしまう。
そうして、いざ翌日になると思ったよりもやる気がわいてこない。メモは取ったものの、昨日、指示を受けた内容はところどころ忘れてしまい、それがやる気の低下だけでなく不安も助長させる。
そこで奮起して取り掛かれればまだ良いのだが、奮起できないと「明日でいいや…」の繰り返しとなり、先延ばしすればするほど指示内容も頭から飛んでいくし、やる気も失われていくから、その段階になっていざ取り掛かるのにも膨大なパワー、というか精神力を必要とすることになる。悪循環である。
そうなるとついには「あれ、どうなってんだよ?」と催促を受けるはめになる。
仕事が遅くなってしまう人の、典型的なパターンである。
私も失敗を重ねてきたので分かるのだが、催促を受けて慌ててやっている仕事で質の高い仕事はできたことがないし、見たことがない。
一方、「今からすぐに取り掛かる」というのはその逆で、積極的に行動することを示している。
経験上、早く対応することを心がけると、自分の気持ちがまず違ってくる。
何より仕事が早いと頼んだ方も「早いね~」となる。気分が良くないはずがない。また、そう言われた本人も褒められたことや達成感で気分が良くなるはずなのだ。今度は好循環になる。
極端な話、「早いね」と言われたい(認められたい)、という気持ちで取り掛かっても私は良いと思っている。
スタートだけでも良いからその日のうちに取り掛かることで、仕事の完成までの大筋の見通しも自分の中で見えてくるし、分からないことが出てきてもすぐ質問できる。そうすることで、次の日にするべきことも見えてくるのだ。明日でいいや、といって翌日以降にゼロから取り掛かるのとでは、この点が決定的に違ってくる。
年齢を重ねて、指示を受ける側からする側に回ることが多くなったが、私なども若手社員に指示をしてすぐに「別添ご確認願います。」などとメールで来たりすると頼んだ方の立場として「おっ、早いじゃん。すごい。」となるものだ。
もちろん、全然できていなくてボロボロの状態で「早くできた、完成しました!」となるのも困るのだが、時間に余裕をもってすぐ対応することによるメリットはたくさんある。例えばこんなこと。
・修正の指示があっても余裕をもって対応できる。
・自分の気持ちにも余裕ができてくる。
・周囲からの信頼が得られる。
・周囲からの評価が上がる。
・明日にしよう、どうしよう、と考えていた時間を有効活用できる。
・不安な気持ちもなくなり、精神的に良い。
・結果的に質の高い仕事につながる。
…こう書いている私も最初から出来ていたわけではないし、今も「明日でいいか」と思ってしまうことがないわけではない。だが、この「スタートだけでも良いから、その日のうちに取り掛かる」ことを意識するだけでも全然違ってくると思うのだ。
仕事のことばかり書いてしまったがこれはプライベートでも同じことで、頼まれたことをすぐにやれば、みんな気分が良いはずである。
例えば奥さんから家事や掃除を頼まれた、友達から幹事を頼まれた、などなど。理不尽なことで断った方が良いこと(お金を貸してほしいとか)でなければ、すぐやることの効果はプライベートにもあてはまるかと思う。
なお、私がこれまでやってきたこと、心がけてきたことの中では「言われたら最初の5分だけでもやってみる、考えてみる」ことをお勧めしたい。
よほど急ぎの仕事がない限り5分はそんなに長い時間ではない。取り掛かるには、やる気があっても最初の一歩を踏み出すのに力がいるが、やる気のあるうちに最初の一歩を踏み出す=スタートダッシュできるのが一番良いと思っている。
もしなかなか取り掛かれない、先延ばしにしてしまう、といったことがおありであれば、ぜひ実践してみていただきたい。