駄菓子屋さんと放課後の思い出
その駄菓子屋は、通っていた小学校から歩いてもそう遠くないところにあった。
おばあちゃんが個人で経営している、町の駄菓子屋だった。
元号が昭和から平成に変わったころ。
小学校低学年~中学年のころだっただろうか。
放課後になると一度家に帰り、その駄菓子屋によく集まった。
おこづかいでもらった100円玉で、お店に並んでいるお菓子がいっぱい買えた。
マルカワのフーセンガム。
チューブに入ったゼリー。
フルーツ餅。
ココアシガレット。
ラムネ。
蒲焼さん太郎。
魚のすり身でつくったカツ。
などなど。あまり記憶にないのだが、うまい棒なんかも当時からあったかな。
おのおの駄菓子を買うと、それを持って近所の公園に遊びに行った。
その公園は、森の中にある、木がたくさん生えているところだった。確か。
公園ではかけっこをしたりドッジボールをしたり、いろいろ遊んだのだが、ある時、駄菓子を食べながら友達の一人が提案したのは「あぶない刑事(デカ)ごっこ」。
舘ひろし・柴田恭兵主演のドラマ。40代以上の方ならおそらくご存知かと思う。私たちの親が見ていて、子供たちも知っていたのだろう。
あぶない刑事ごっこといっても、その内容は公園の木に登りココアシガレットを口にくわえてたばこを吸う真似をしようぜ!というもの。
木に登って、ちょっとかっこつけた佇まいでぷか~っ、とマネをする(笑)。いかにも子供が考えそうなことだが、それでもなんだかみんな、そんなことをしているとちょっとだけ大人になったような、いい気分を味わったものだ。
子供のころの記憶というのは覚えているようでいて忘れていることも多いのだが、不思議なものでなぜかこの「あぶない刑事ごっこ」だけは未だによく覚えているのだ。
あのころ、そんなことをしながら外でもよく遊んでいたな…と思うが、今考えるとよく小さい体でするする木登りなんかできたな…とも思う。
当時、すでに小学生が遊ぶことと言えばファミコンが主流で、あのころは確か「スーパーマリオブラザーズ3」が流行っていたころだったが、必ずしもファミコンばかりしていたわけではなかったと記憶している。まだまだ昭和の空気が残っていた時代だったのかもしれない。少なくとも私の周りでは。
今、駄菓子がリアルのお店で手に入るのはスーパーやコンビニ、あるいはショッピングセンターのなかによくあるチェーン店の駄菓子屋くらいだろうか。
私の娘も、上で列挙したような駄菓子は散歩や遊んだ帰りに買い物で立ち寄るスーパーで見て知り、買ってとよくねだられた。
彼女の当初のねらいはお菓子コーナーに並んでいるプリキュアのおもちゃ入りのラムネだったのだが、隣に並んでいる駄菓子にも次第に目移りしていったようで、どうやら一番好きなのはキャベツ太郎のようだ。
スーパーのようなお店で駄菓子を買うというのもなんだか味気ないが、これも時代の流れなのだろう。
私たちがあの時、放課後の時間をすごしたその駄菓子屋の跡地には今、新築の一戸建てが建っており、当時の面影はどこにもない。
令和の今でも、どこかにああいう、個人で経営しているような駄菓子屋はあるのだろうか…。
今日、ふとそんな思い出がよみがえって、コンビニに買物に行ったとき思わず駄菓子を一緒に買ってしまった。
支払いは100円玉ではなくPayPay。これも同じく時代の流れだろう。
久々に食べた駄菓子、おいしかったです。
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東北地方で先月に続いて大きな地震があった。
今回は私のスマホの警報はならなかったが、東京もしばらく揺れた。
明日も全国的に雨の予報。土砂崩れなども心配だ。
祈ることしかできないことがもどかしいが、どうか皆様ご無事であること、大事に至らないことを祈りたい。