仕事でいただいた「忘れられない言葉」
仕事やプライベートでいただいた「忘れられない言葉」が誰にでもあるかと思う。
それは私にもあって、20代のころ、同じ部署で一緒に仕事をしていた人からいただいた言葉を今でも忘れていない。
その人(男性)は当時すでに40歳くらいで、今の私と同じくらいの年齢であった。
当時、私達がペアで担当していたのは、企業の経営者や管理者を対象として開催していたある研修会の企画・運営の仕事だったのだが、その人はそれらのカリキュラム等の研修企画を立てる業務を担当しており、その関係もあって、
「自己実現や自立をするために意識すべきことは?」
「自分の最大限の能力を引き出すには?」
「人を喜ばせるには?役に立つには?」
といったことを常に勉強して、研究していた。研修の講師にも負けず劣らずの知識を持っていて、この仕事が、この人の天職と言ってもおかしくなかった。
私はその人から色々なことを教わったのだが、その中でも印象的で忘れられない言葉がある。
それは、
「なるほど。チャンスだ。ありがたい。」
私がその部署を異動になることが決まり、その部署での最後の勤務日となった時、餞別のアドバイスとしていただいた言葉である。
その言葉には、どれだけつらい状況に置かれても、その出来事を前向きにとらえ、自分にとってプラスに繋げられるように、常にそう考えなさい、という意味が込められていた。そのようなことを、併せて言われたと記憶している。
そしてその時、この逆の言葉も一緒に聞いた。
それは、
「ちきしょう。やべぇ。このやろー。」
いずれも後ろ向きで、腹立たしくなった時に使う言葉である。
こうならないように常に意識しなさい、という意味であった。
私はこの「なるほど。チャンスだ。ありがたい。」に感動して、その後、仕事の時もプライベートの時もいつも念頭に置いてきた。
「忘れられない言葉」と言っておきながら、時にはその言葉が意識から遠ざかってしまっていることもあり反省することしきりなのだが、あの日、私へのアドバイスとして仰っていただいた言葉が、その後の私にとってどれだけ大きなプラスになったことか。
…部署を異動して2か月くらい経ったころだろうか。
その人から、久しぶりにメールをいただいた。
新しい部署はどうだ、慣れたか?といったところから始まり、主にその人の近況報告が書かれていたのだが、最後はこう結ばれていた。
「〇〇(私)さん、何が起きても、顔は泣いていても、信じられないくらい辛くても、最初の受け止め方は「なるほど。チャンスだ。ありがたい。」ですよ。忘れないでくださいね!」
今でも、その時の文面を思い出せる。おそらくほぼ原文どおりだと思う。
…この言葉を自分なりに考えてみたが、相手の言動や、自らの身に起こった出来事に対して
・共感し(なるほど)、
・前向きにとらえ(チャンスだ)、
・感謝する(ありがたい)。
ことを示したものと言える。
良い人間関係を作るうえでも、日々気持ち良く過ごすうえでも、とても大事な姿勢だと感じる。
今一度、改めてこの言葉を噛み締めていきたい。