日々思うこと

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なんでもデジタル化すべきではない 〜デジタル教科書がもたらす、子供の成長への弊害〜

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今朝の読売新聞の社説に、小中学生の教科書を全てデジタルに変更(あるいは紙と併用)することへの警鐘を鳴らす内容の記事が掲載されていた。

そのまま掲載はできないので要約すると大筋下記の通りだが、私も全く同意見であった。

  

〇日本は紙の教科書を使って高い学力を維持してきた。しかし、それをデジタル化することでこれからどのような教育を目指すのかが見えないままの状況で教科書の全面デジタル化など行ってはならない。
〇子供の集中力や学習効果に疑問が生じて、デジタル化の方針転換を行った国もある。
〇教科書は紙を基本として、デジタルは学習効果を高める補助教材にとどめるべきで、慌ててデジタル化をした結果、学力が低下するようでは取り返しがつかない。
〇小中学生はこれまで学校へのスマホの持ち込みを禁じられていたのに、いきなり端末を配って教科書はデジタル化、などとなれば教員も保護者も困惑するだろう。
〇行政手続きの効率化は急務だが、教科書と同列に論じるべきでない。

  

以前、このブログで「ネットで手続きをすることも慣れてくると簡単になる。」ことを書いたことがあった。

そのことは私の経験上、今もそうだと思っているし、今後のデジタル化の推進の中でネットでの手続きはいずれ間違いなく主流になってくると思われる。

 

ネットの手続きも一度経験したら簡単? - T-H79の日々思うこと

 

しかし、最近のデジタル化の流れはやや性急な感が否めない。

ネットで行った方が良いことと、そうでないことの区別・検証が疎かになってはいないか。

例えば、ネットでの手続きは手順どおり操作することで「手と体が自然とやり方を習得していく」ものであると、私は上述の手続きを行ったときにも感じたのだが、上記の教科書などのように「読んで理解するもの」は、「目で読んで頭で考えて、時には自分の手で鉛筆やペンなどで書き込みをしていく」ようにした方が断然理解が進む。

また、それは継続することで特に子供たちにとって、単なる知識の習得にとどまらず、人としての成長に大きな効果を発揮すると思っている。

具体的には、社説でも一部記載のあった集中力や理解力・考える力の向上である。

 

教科書をデジタル化すると、この大事な点が疎かになるのだ。

まさに社説の通り「慌ててデジタル化をした結果、学力が低下するようでは取り返しがつかない」事態にもなりかねないと私も危惧している。

 

教科書だけではない。仕事での書類など、読まなくてはいけない大事な書類は押しなべてこの点が当てはまるのではないかと私は思っている。

 

PCやiPadなどで確かに「読む」ことはできるが、画面上で眺めて読むだけではどうしても集中力が途切れる。

子供なら尚更であろう。

読みながら感じたこと・考えたことを直接整理できないからだ。

別の紙に感じたことをメモしたとしても、教科書や資料と連動していない別の紙なので理解することについても効率が悪くなってしまう。

集中して読めなくなると自然と理解も深まらなくなり、自分で考える力の低下にもつながっていく。

みんながみんなそうだとは思わないが、こう考えるとかなり危険な結果に陥るということはないだろうか。

 

デジタル化を否定するわけではないのだが、その考え方が杓子定規のような気がしていて不安を感じている。

せめてここで書いたようなレベルのことは検証した上で推進してほしいと思うのだ。

 

少なくとも「手や体で覚えること」と、「頭で理解すること」とは別問題で考えなくてはならないと私は考える。