今年も傑作揃い!「サラリーマン川柳100選」
第一生命保険株式会社が毎年募集している「サラリーマン川柳100選」が発表された。私はこの川柳の作品に共感してしまうことが多く、毎年楽しみにしているイベントである。
今年はやはりコロナに関連する作品が大半を占めていたが、世の中のサラリーマンも皆、同じような思いをしているんだな…と、今年も共感しながら100選の秀句を読まさせていただいた。
私が個人的に面白かった、傑作だったと感じたのは次の8つ。
(ネタバレになるのでご注意ください。)
テレワーク いつもと違う 父を知る
子供の視点からの光景を詠んだ秀作だと感じた。
多くの子供にとって、父親が仕事をしている光景を見る機会はめったにない。テレワークで真剣に仕事をする、今まで見たことのなかったその姿には、子供の父親に対する見方を変える力がきっとあるのだろう。もともと父親が好きだったら、より「お父さんすごい!」と思うのだろうし、嫌いだったとしても仕事ぶりを見てその気持ちが変わることもあるのかもしれない。
倍返し 言えぬ上司に 「はい」返し
言い返したいけど言い返せない。気持ちをぐっとこらえて「はい」と返事をする。とても切ない、サラリーマンならではの悲哀だが、このような経験をしたことのないサラリーマンはきっと少ないはず。共感した方も多かったのではないだろうか。
自粛中 見えた夫の 定年後
家で過ごすことが多くなり、夫が定年後にどんな毎日を送るのかが見えてきてしまった。妻にとって少なくとも楽しい定年後は見えてこず、明らかにマイナスイメージとなる定年後を見てしまったのだろう。この一句が醸し出す雰囲気からそう感じた。
他人事ではないので気を付けたいところ。
会社へは 来るなと上司 行けと妻
感染対策として出社を奨励しない上司(会社)と、夫がいつも家にいることに窮屈な思いを感じる妻との板挟みになり肩身の狭い思いをするサラリーマンの、これまた切ない光景であるが「これはよくありそうなケースだな…」と感じた一句。
オンライン 説教したら 画面消え
今の若者は叱られ慣れていない、などと言われて随分経つが、私は上司(先輩?)の説教を受けている若手社員がいきなり退出ボタンを押して画面を消してしまう光景が浮かんできて、思わず笑ってしまった。実際のところ、いったいどうやって退出したのだろうか。無言で?失礼します、と言って?と考えただけでも面白かった。
説教する側からしたら、到底笑い事では済まされないことではあるが…。
飲み会の 会場探し 家の中
オンライン飲み会が流行ったものの、一方でそのデメリットもあったりする。終電を気にしなくて良いので際限なく続いてしまう、会話が1人対他の全員となり話しづらい、等々あると思われるが、この「会場探し」も特に家族を持つ人にとってはデメリットとなる事項の一つであろう。
うるさくならない場所、背景が見えても恥ずかしくない場所、など結構頭を使うものである(背景は隠すこともできたりするが)。
あなたとは 要請なくても ディスタンス
テンポが良くて笑ってしまったものの一つ。ホップ、ステップ、ジャンプのようなノリの良いテンポが感じられるのに中身は妻に避けられる夫の悲しさを詠んだもの、というそのギャップを勝手に感じて妙に印象に残ってしまった。
テレワーク 気付いた会社の イスの良さ
これはそのとおり。テレワークを始めてから会社にいる時より腰が痛むことが多くなった。今まで当たり前に座っていて何も感じなかった会社のイスが、実はとても良いイスだったことに改めて気付かされ、この一句は大いに共感してしまった。
今回も秀作が勢揃いであった。
しかし一方で、いつになるかまだ見えてこないが、今回の川柳を見返した人たちが「そういえばこの時はコロナで大変だったんだよな…」と振り返られるような日が、一日でも早く訪れることを願いたくなった。
明日は久しぶりの出勤日。
イスの良さを、体で感じることになるのかもしれない。